シンガポールのすべての会社は会計企業規制庁(ACRA)に登録され、シンガポールの会社法を遵守しなければなりません。 シンガポールで会社を登録するための主な要件は次のとおりです。
- 最低1名の株主(個人または法人)
- 最低1名の常駐取締役
- 1名の秘書
- 最低払込資本金1シンガポールドル
- シンガポール国内の会社住所
会社の責任者の中でも、取締役は会社の業務を管理し、方針を決定する責任者として最も重要なものです。ACRAは、「取締役は客観的に意思決定を行い、会社の最善の利益のために行動し、利害の対立を避け、誠実かつ勤勉に職務を遂行しなければならない」と明記しています。
シンガポール企業における常駐取締役の定義
また、取締役を「その肩書きに関わらず会社の意思決定や指示を出す権限のある者、あるいはその代理人」と定めています。
したがって、この定義の下では、正式に取締役に選任されていない場合も、ACRAは、会社のその他の取締役がその指示に従っている場合、その人物を会社の取締役とみなします。
しかし、通常は所定の同意書に署名することによりその人は会社の取締役になることに同意したとみなされます。シンガポール法では、「現役の」、「非現役の」、「影の」、および「休止中」の取締役の違いは認識されていません。
シンガポールに必要な取締役の人数
シンガポールでの会社登録に必要な取締役の最小人数は1人ですが、通常、最大人数は会社の規定に記載されています。
会社に取締役が1人しかいない場合、その唯一の取締役が会社の唯一の株主になる可能性があることに留意する必要があります。
よって取締役は1名でも1つの会社には最低2名の社員(取締役と会社秘書)が必要となります。
最低1名の常駐取締役
前述のように、会社法では、会社の少なくとも1人の取締役がシンガポールの「住民である」必要があります。
ACRAでは、「住民である」であることの定義は、取締役の通常の居住地がシンガポールにあることを意味していると記載しています。
さらに「シンガポール市民、シンガポール永住者、アントレパスの保有者、または会社で働くためのビザが発行され、現地の居住地を持つ雇用パスの保有者においても、シンガポールにて通常居住する者である必要がある」と定めています。
シンガポールの会社におけるノミニーダイレクターの役割
ノミニーダイレクターは、他の団体または人物の代理として任命された取締役です。 ノミニーダイレクターは、実質株主または特別階級の株主として取締役会に出席するように任命することができます。
シンガポールでは、ノミニーダイレクターは会社法および慣習法によって通常の取締役に課されるのと同じ義務および責任を負っています。
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シンガポール企業の取締役要件
2009年3月1日以降、シンガポールで会社の取締役に任命される最低年齢は18歳で、関係者は取締役の職務を遂行するのに肉体的および精神的に適していることが条件とされています。
非公開会社の取締役になるための最大年齢制限はありませんが、公共または公開会社の子会社の場合、年齢制限は会社の年次総会で再任されない限り70歳と設定されてます。
シンガポール企業で会社取締役に任命できない場合
ACRAでは、会社の取締役として要件をみたさない事項を以下のように挙げています
- 非免責の破産者
- 詐欺または不正行為を含む刑事犯罪で有罪判決を受けた者
- 裁判所によって不適格命令が出された者
- 年以内に会社法に基づく犯罪で3年以上有罪判決を受けた者
- 5年以内に3 回以上高等裁判所が会社法に基づく強制命令を命じた場合
- 国家安全保障または国家利益の理由で会社が解散されている場合
上記を会社に通知することは取締役の責務であり、会社はACRAに取締役の不適格について通知する必要があります。
特に、有限責任パートナーシップ法(第163章A)の第34条、第35条、または第36条に基づく自動失格または失格命令の対象となる取締役は、会社法の下でも取締役としての地位を失います。
会社の取締役に遵守されるべき要件
シンガポールの会社の取締役は、会社が以下に挙げる重要な法定要件を順守していることを確認する責任があります。
- 会社の年次総会(AGM)の開催
- その後の指定された期日までに年次報告書の提出(通常はAGMから1ヶ月以内)
上記の2つが満たされない場合、会社に罰則が科せられるか、または会社の取締役に対して訴訟がとられます。
通常、AGMの間に、配当の公表、取締役が選任、監査人が選任および報酬の決定、会社の口座および貸借対照表が見直しが行なわれ、必要に応じてその他の「特別事業」がなされます。
全株主による決議において同意された場合、シンガポールの非公開有限会社は株主総会を開催しないことを選択することができますが、その場合も会社は年次報告書を提出しなければなりません。
シンガポールの色別コンプライアンス評価とコンプライアンス証明書
2010年4月にACRAは現地法人のために色別コンプライアンス評価を開始しました。 これは、会社法に基づく3つの最も重要な法定要件(株主総会の開催(175条)、株主総会にて最新の財務諸表の作成(201条)、および 年次報告書の適時の提出(197条)を遵守している会社を認識し評価するためです。
- 完全にコンプライアンスを満たしている会社には緑色のチェックマークが付されます (会社は、個別証明書番号でコンプライアンスの証明書を取得できます)
- 3つの要件のいずれか、またはすべてに違反する場合は赤の(×)のマークが付されます。
シンガポールの現地法人住所の登録
シンガポールのすべての企業が国内の会社住所を保有する必要があり、会社の取締役は、会社の国内住所を確保する必要があります。
しかし、多くの企業は、会社のサービスプロバイダーや会社設立代行会社の住所を、登録住所として有料で利用しています。ACRAでは「会社が郵便やその他の手段で連絡できる物理的手段がある限り、しかる方法に問題は無い」とACRAでは 定めています。
シンガポールの会社による法定登録記録
また、会社の取締役は、当社の登記住所において以下のを登録をしなければなりません
- 職員
- 取締役、マネージャー、秘書、監査役
- 取締役の保有株式
- 資本金
上記の情報にいかなる変更があった際は速やかにACRAに通知する必要があります。
シンガポール会社における取締役決議
取締役会決議または取締役会決議は、通常、会社の会議において多数決で採決されます。
- 銀行口座開設決議
- 取締役、監査役、会社秘書を含む会社役員の任命
- 会社法や会社規約に基づくその他の決議
また会社秘書は会社の取締役の議決を記録する必要があります。会社法において会社秘書の役割、義務、責任は定義されていませんが、主に法によって定められる行政および報告機能を担当する役員として重要な職務となります。
会社秘書はまた、会社がすべての規制上の義務を確実に果たすように会社の取締役をサポートします。
その他のシンガポール会社における取締役の職務
- コーポレート・ガバナンスの遂行
- 企業における社会的責任の遂行
- 倫理的かつ社会的責任を負う行動
- 社会貢献
シンガポールの取締役における職務違反に対する罰則
- シンガポール会社法において、取締役が職務に違反した場合、民事訴訟または刑事訴訟がなされることがあります。
- 取締役の法定職務は ACRA によって制定されていますが、会社は取締役に対して慣習法を課しています。
法廷義務 | 慣習法 |
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法令に記載 | 判例に記載 |
ACRAによる命令 | 企業による命令 |
刑事および民事責任 | 民事責任のみ |
会社は、ACRAによる違反会社の取締役告訴への制止不可 | 会社および裁判所は違反における弁解可能 |
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